メキシコで行われたWBC1次ラウンド。プールDの参加チームはメキシコ、プエルトリコ、ベネズエラ、イタリアです。この中から上位2チームが2次ラウンドに進出となるのですが、試合結果は以下の通り。
イタリア10-9メキシコ(9回ノーアウトでサヨナラ)
プエルトリコ11-0ベネズエラ(7回コールド)
イタリア10-11ベネズエラ(延長10回)
メキシコ4-9プエルトリコ
プエルトリコ9-3イタリア
ベネズエラ9-11メキシコ
ごらんのとおり。勝敗のみで順位を決めると、以下のようになります。
3勝 プエルトリコ
1勝2敗 メキシコ ベネズエラ イタリア
要するに、下位の3チームが三つ巴になって勝敗数が並んでいます。
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勝敗が並んだ時のルール
WBCでは勝率が並んだ場合、「同率で並んだチーム間の対戦での失点率(イニングあたりの失点数)が小さい順」で上位を決めるルールになっています。要するに、各チーム対プエルトリコの試合は無視して、3チーム間のスコアで失点率を出すよ、ということです。
これは第1回WBCでメキシコがアメリカに「このスコアで」勝った時のみ日本が準決勝進出、となっていた「そのスコア」がピタリとはまったときに話題になったものですね。
リーグ制の復活とともに復活したルールです。
これに加えて今回の大会では、3チームが三つ巴で並んだ場合、次ラウンド進出当落線上の2位と3位のチームでプレーオフ(直接対決)を行って勝者を決定しようというルールが新たに加わったのです。
割と厄介な方式である
この失点率と言うのはなかなか厄介なもので、後攻チームが勝っていたら裏に守備しませんよね。そうすると、後攻で勝った場合は8イニングしか守備をしなかったということになるんですね。コールドや延長戦でもイニング数が変わってきますし。
で、今回失点率を見るとですね。プエルトリコ絡みのスコアを除いてもう一度みましょう。
イタリア10-9メキシコ(9回ノーアウトでサヨナラ)
イタリア10-11ベネズエラ(延長10回)
ベネズエラ9-11メキシコ
メキシコ 9イニング10失点、9イニング9失点 → 19失点/18イニング
→イニングあたり失点率1.056
ベネズエラ 10イニング10失点、9イニング11失点 → 21失点/19イニング
→イニングあたり失点率1.105
イタリア 9イニング9失点、10イニング11失点 → 20失点/19イニング
→イニングあたり失点率1.053
となってイタリアとメキシコでプレーオフ決定!・・・となりそうなんですが。いったんWBC公式もこう発表して取り消しました。
メキシコがイタリアにノーアウトからサヨナラ負けしている!
・・・ということを無視してはいけません。WBCが当初公式発表したとき、私が(あえて)計算したようにこのイニングは守ったこととして失点率を計算していました。
でも、野球の公式記録を出すときに、例えば投手の防御率を算出するときにはサヨナラ負けしたイニングでアウトを取ったという風にはふつう計算しません。
ですから、このイタリアの守備を1イニングとして計算しないのが「野球っぽい」計算の仕方です(WBCの規則は一応どちらともとれる)
メキシコはイタリア戦で最終回1個もアウト取っていないから!
として計算してみると・・・
メキシコ 8イニング10失点、9イニング9失点 → 19失点/17イニング
→イニングあたり失点率1.118
で、ベネズエラを下回って最下位なのです。そうすると、イタリアとベネズエラがプレーオフを戦うという計算結果になります。
どっちが正しいのか?
情報が錯綜、公式発表が遅れていましたが、アウトカウントを取っていないためイニング数に入れないということになったようです。
そもそも、これがどういう扱いになっているか試合中に質問されて答えられる人は現地にいたのでしょうか。いなかったとしたらルールに欠陥があったと言えますし、メキシコ側に誤って伝えられたのだとしたら悲惨です。たとえばメキシコは最終戦のベネズエラ戦は先攻めでしたから、2点差の最終回にベネズエラにわざと追いつかせて、もっと点差をつけて勝つ、という戦略を取りえたわけですよね。できるかどうかは別にしてね。(後攻めでも3ランや満塁ホームランでそれが可能ですが)
と、こんなことでプールDが揉めていました。
公式から、ベネズエラがプレーオフ進出、メキシコが敗退と訂正の発表があったようです。
こういう大会に水差すような誤報を公式がやらかすってのは勘弁してほしい物ですね。