※この記事は2016年に執筆されたものです。一部種目が変更になっています。採点基準も変わっているかもしれません。ご注意ください。
さて、検定攻略シリーズ第3弾です。「2級シュテムターン」「2級基礎パラレルターン大回り」に続いて、我流野良スキーヤーである私の、SAJスキー検定2級の種目「基礎パラレルターン小回り」攻略方法を述べていこうと思います。これで2級編は完成!
「スキースクールとか雑誌で言われることって、お前は間違ってる、こういう形で滑りなさいとかいう指摘ばっかりでじゃあどういう練習して何を意識すればいいかは全く教えてくれないのオンギャアアァァァァァ!」っていう人に良い薬になればと思っています。
毎度毎度同じことを繰り返し書きますが、ここに書くことは、たぶんポジションが悪い人にはできません。スキーのポジションについては以下の記事で書きました、ご一読ください。
とはいえ、小回りのポジションの作り方は少し特殊なところもあるので、この記事でもポジションの作り方も詳しく説明していくんで安心してください。
さてさて、シュテムの記事でも大回りの記事でも触れましたが、苗場スキースクール様が貴重なデータを公表してくださっています。2級小回りの合格点獲得率は2014~15シーズンは30%未満、合格率が一気に上がった2015~16シーズンでも40%未満です。いずれの年でも最も合格点をとるのが難しい種目です。ただし、これは苗場のデータなので他のスキー場のことはわかりません。
このデータを読み解くと、小回りという種目は2級合格への「鬼門」であるといえますね。何度も検定受けて、小回りだけ64で落ちる!そういうことが多い種目だろうと思います。
で、そもそもの話をします。スキー検定において「捨て種目」は絶対に作らないでください。加点なんてものは、検定員の機嫌がよくないと簡単にはつきません。そもそも、「この種目はできない」とか言っちゃうレベルの人が加点を狙っても無駄だと思いましょう。
だから、2級で一度でも落ちたことがあって、今後2級合格を目指すあなたがねらうのは、「65オール」ですよ。66、65、64なんていう受かり方をするのは種目を理解していない子供レーサーくらいだと思ってください(稀にオッサンでもいますけど)。
そこんとこ念頭に置いといていただいて、小回りの攻略を書いていきます。
目次
- 小回りで行う事の全体像
- 「ワイパー小回り」になってるよと言われる
- 脚をひねったニュートラルを作らなければならない
- ワイパー小回りを直すバリトレ!
- 「上に抜けてる」「腰を谷に落として」と言われる
- 広義の後傾を直すバリトレ!
- 一発で小回りの合格点を出す必殺技!
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小回りで行う事の全体像
さあ、まずは2級検定での小回りで何をすればいいのか、という所から入りましょうね。種目は「基礎パラレルターン小回り」ですから、ズラシを多用した滑りでOK、ズレにちゃんと乗ってください、という事なんですが、ここではこれを「ひねり系小回り」であると言っておきましょう。
ベンディングとかストレッチングとかなんとかかかんとかは、この段階では全く気にしなくていいですよ。
ちなみにスタンスは自由です。が、「ズラシを多用するひねり系小回り」は、密脚(膝とくるぶしをピタッとつける意識)するとやりやすいですよ。あと、ストックは突いてください。板のすぐ横じゃなくて、つま先のビンディングの横あたりの遠めの所を突いてください。
全体像は図にするとこんな感じです。
図の中に、点線になっている部分があって、谷回りがありませんね。そう、断言しておきましょう、2級小回りでは谷回りの意識は不要です!
これはどういう事かというと、ニュートラルを作ったら、ズリズリー、とエッジを寝かしたままテールを振って板を下に向け、斜面真下(フォールライン)を向いて横向きにエッジングを開始するという事です。
とはいえ、「ひねり系小回り」のニュートラルはちょっと他の種目と違うので、気をつけましょう。後述します。
さて、この線を引いただけの図の中で、「大回りのターン弧を小さくする」という意識で小回りをすると、「ローテーション」という検定ではよくない姿勢が出来上がります。パワポで生みだされた「ブロブロ君」で図にするとこんなんですね。
もう一度言いますが、2級受験レベルの人がこのローテーションをするのは、検定ではハッキリ言ってよろしくないです。本人はトップを良く動かす「深回りの小回り」のつもりでも、体重移動と板の切り替えが素早くできないので「中回り」のターン弧になります。
なんだと!じゃあどうすればいいんだ!と思いますよね。腰から下がなくなって幽霊になったブロブロ君で説明しましょう。小回りの時の腰と上半身の向きは、こういう感じになります。
なかなかキモチワルイ図ができましたね。図を見ていただくと分かりますが、全部同じ向きを向いています。フォールライン方向です。「基礎パラレルターン小回り」のときは、腰から上はフォールラインに向けて固定する意識を強く持ってください。
腰から上は横に傾くのもダメです。そう意識してください。そうするとシュテムや大回りで述べた「外傾」も自然に出ますから。やはりそこはかなり重視されています。
そしてもう一つ。腰から上を真っ直ぐフォールラインに固定していても、フォールラインに向かって真下には落ちて行かず、左右に動くことを強く意識してください。
はい、もうこれを意識するだけで足元の操作が上手い人は受かるんですが、ここから下では、よくある悪い例と共に対策方法と身体感覚を書いていきましょう。
下に書く問題点、言われたことのない人にも全部重要ですからみんな全部読んでください。
「ワイパー小回り」になってるよと言われる
はい、これ言われたことある人いっぱいいるでしょう?「昔のウェーデルン」になっている、って言われたこともある人もいるでしょう?挙手!
・・・ポツポツ手が挙がるはずです。はい、挙がったことにしましょうね。
これは絶対直しましょうね。直し方も詳しく説明するからちゃんと読んでくださいね。
結論から言いましょう、ワイパー小回りになる人は、上で書いた横に動く意識が足りないのと、ニュートラルの作り方がおかしいです。
ワイパーの原因は前傾過多とか後傾とかいろいろ言われますが、その意識改革では直りません。「トップを動かす」にばかりフォーカスして後傾になってしまうのがオチでしょう。
ワイパー小回りとは何ぞやという事も含めて、ブロブロ君で説明しましょう。
ブロブロ君の姿勢は、上から順に左ターン、ニュートラル、右ターンです。3人に分身したブロブロ君のスキー板のトップを見てください。
右の図に書いたように、トップはほとんど動かず、テールをぶんぶん振っているように見えますね。こういうのをワイパー小回りといいます。
で、これはニュートラルに問題があるから起きる、といいましたね。
ニュートラルを改めて説明しますと、ターンとターンの間で発生する、「ブーツが腰の真下にあって両スキーの両エッジが立っていない状態」のことです。
「自分が左右に動く」なかで、「腰から上の向きを固定」して、ニュートラル、すなわち「自分が斜めに滑っている」状態の時、板がフォールライン向いてたらおかしいと思いませんか?
まだわからないなら、大回りで想像しましょう。山回りが終わってニュートラルになる時のことを想像してください。そのとき、板がまっすぐフォールライン向いてたら、おかしいでしょう?
ようするに上の図のブロブロ君は「直滑降→ブレーキ」を繰り返してるだけで、ターンをしてないという事になりませんか?ワイパー小回りとは、つまりそういう状態なんです。だから検定ではこれを落とすんです。
脚をひねったニュートラルを作らなければならない
ではワイパー小回りの直し方を書いていきます。簡単に言えばニュートラルの矯正です。
さっき言ったように、ニュートラルの時板がフォールライン向くのは論理的に変ですね。板は斜め向いてないとおかしい。でも、腰から上はフォールラインに固定するんですよね。
腰から下でスキーを斜めに向けるには、脚をひねるしかありませんね。脚の付け根、つまり股関節を左右の脚それぞれひねるんです。
そう、つまり、「脚をひねった状態で両スキーの両エッジが外れる」という状態がひねり系小回りのニュートラルなわけです。
図にするの難しかったですけど、こういう感じのニュートラルになるんです。当然、右向きと左向きがあります。
しつこいですが、この2人のブロブロ君は腰から上をひねってはいません。脚だけをひねっています。この2つのニュートラルがターンとターンの間に挿入されていれば、美しい小回りになります。
はい、ここまで「この形で滑りなさい」しか言っていませんね、これでは私の目指すところではありません。練習方法を書いていきます。
ワイパー小回りを直すバリトレ!
これの練習は、雪がない坂道を使ってスキーの道具なしで出来ます。それでは初登場、私服のブロブロ君です。よろしく!ださい(笑)
上着のパーカーがオシャレでしょ?ブロブロスキーオリジナル「鯖味噌パーカー」です。欲しい人がいたら販売を考えましょうかね。まぁ欲しい人はコメントください。
さて、これから書くバリトレは、脚をひねったニュートラルを作るため、横に動く意識を植え付けるために行います。まず、坂道に真っ直ぐ下を向いて立って、脚をひねってください。腰はひねらないでね。
脚をひねったら、超小股で斜め前に歩いてください。ちょっと行ったら脚を戻して、真っ直ぐ下に超小股で歩き、今度は逆に脚をひねって、また超小股で斜めに前に歩いてください。
これを「私は今スキーをしている」と想像しながら、ゆっくりでいいので左右にやってみてください。図にするとキモいですがこんなんです。
これをひたすらやってください。「足が腰の真下にあって、そこで脚をひねる」という感覚が理解できるまでひたすらです。慣れてきたら膝を柔らかく曲げてやってみるとなお良いですよ。
これがわかったら、今度はスキー場に行って、平らなところでポジション作って、脚をひねったニュートラルをやってみてください。2級大回りコーナーで使った図を流用しますが、こういう風にやってください。
さっき書いた練習で体得した「脚だけひねって横に動く」ことと、脚をひねることを覚えたあなたがこの「脚をひねったニュートラル」を強く意識しながら小回りすると、きっとワイパーを脱出するはずです。
このニュートラルを入れた小回りの滑りを、ブロブロ君を分身させて図にしてみましょう。
こういう風になれば、合格です。適切なリズム(後述)でこの図みたいに滑れたら1級でも合格しますね。はい、長かったですがワイパー小回り対策は以上です。まだまだ続きますよ。
「上に抜けてる」「腰を谷に落として」と言われる
はい、これも言われたことある人が多いでしょう。あとは「抜重が出ている」なんて言い方をされることもありますね。「踏みかえ動作が出ている」といわれる方もいらっしゃると思います。
これらは、全部「あること」が原因で起きています。同じ原因ですのでまとめて書きましょう。
また結論から言います。原因は広義の後傾です。
「広義の」と書いたのは理由があります。小回りは板の方向が目まぐるしく変わりますので、どっちが前やら後ろやら、考えてしまうとドツボですよね。でも、ここまで書いてきたことにヒントがあります。
そう、身体はずっとフォールラインを向いているんですから、その身体が板より後ろ側に遅れることを、私はすべて後傾と捉えます。(ひねり系小回りでは)
具体的には、山回りが長引くと体が山側に寝てしまい、広義の後傾になります。
これで小回りするためには、切り替えのために山足で地面を蹴って真上に抜重したり、もっとひどければ蹴るために山足を開き出す踏みかえ動作が出ます。これは体が遅れているからであり、それを直させるための言葉が「腰を谷に落とせ」なわけです。
スクールで言われる謎の言葉の正体、わかりました?
腰はずっとフォールライン向いてるのに腰を谷に落とすって、よくわからないですよね。でもスクールでは正確性を重視するあまり、意味不明な言葉を使わざるを得ないことが多いんだと思います。
ひねり系小回りに限って乱暴に言えば、これらの指摘はすべて、もっと前傾しろ!っていう意味です。
実際、前傾を意識するだけでセンスのある人はあっという間に直るでしょう。ポジションを語った時の図を流用します。詳しくは冒頭に貼ったポジションの記事で。
この左の基本ポジションは、2級小回りでは脚をひねっても前後に動かず、ずっと保っておくという事です。右のブロブロ君のポジションだと、小回りしたときに上に抜けるし踏みかえが出るし腰を谷に落とせって言われます。
はい、また、こう動きなさい、だけ先に説明してしまいました。これではブログの趣旨に反するので、練習方法と身体感覚を書かなければなりませんね。
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広義の後傾を直すバリトレ!
これは簡単に魔法のように直せます。しかも結構有名な方法で。でもその運用にコツがあります。
その魔法のような方法とは、これです!じゃん!
もう図に書いた通り、それ以上説明することなんてないんですが、ストックはとりあえずほっぽって、手を膝に当てて小回りのリズムで滑ります。
小回りのリズムは、youtubeなどで検定風景の動画を探して小回りの前走を繰り返し見て、それに合ったテンポの、あなたの好きな曲でも探しましょう。私が使ったのはYUKIさんの「ティンカーベル」という曲でした。
この曲が入ってるアルバム、いい曲ばっかりだし、交通費、スクール、リフト券代考えたら、これ買ったほうが合格に近づけて、しかも安いから、いい曲見つからない人はこれ買って、どうぞ。捨て曲なしの名盤だと思います。
私は2級でも1級でも、ティンカーベルを口ずさみながら滑りましたよ。収録されているのはこのアルバムです。
さて、練習の話に戻りましょう。コケそうなとき以外は絶対に膝から手を離さないでください。これだけで、魔法のように抜重も踏みかえも出ない小回りになります。
体が伸びあがったり後傾になったりしたら手が膝に届かないんですよ。だから勝手に直ります。
図を描くとこんな感じですね。
ニュートラルで脚をひねっているのも忘れないでくださいね。そして腰を回さない(ローテーションをしない)ことも忘れないでくださいね。この姿勢で一切手を離さず、怖がらずに小回りのリズムで回れるようになったら、2級ならもう合格点取ったも同然ですよ。
リフト3本くらいは全部これで下りて、一度も手を離さずに小回りできたらOKです。(言っときますが、疲れますよ)
でもね、人というのは忘れる生き物なんですよね。膝から手を放しちゃうと後傾に戻る人がいる。でも、この感覚で、ストックを持って検定で滑るための方法というのが、あるんです。
一発で小回りの合格点を出す必殺技!
記事の途中を読まずに目次からここに一気に飛んできたあなた。あなたには意味不明なことを書くので、上に戻ってこの記事を最初から読んでください。
さあ、ここまで全部読んできてくださったあなたには、必殺技をお教えしますよ。
目を閉じて想像してみてください。あなたには腕が4本あります。自在に動かすことができます。左右1本ずつにはストックを持って、もう1本ずつの腕があると想像してください。10秒くらい、目を閉じて想像して、ストックを持っていない両の手を動かしてみてください。そしたら、目を開けてください。
こんな感じになったでしょうか。なりましたよね?
もうこうなったら小回り種目は落としません。1級でも通用するので安心してください。では、空いている両の手を膝の上に置いてください。さあ、小回りをしてください。必殺技イメージはこんなところです。
抜重も踏みかえも出ない、脚をひねってニュートラルを作れる、見違えるほどうまくなったあなたがそこに居るはずです。前走の小回りと同じテンポの好きな曲に合わせて、膝に手を当てて小回りするバリトレをちゃんとやって、できたならもう2級で小回り種目を落とすことはないでしょう。
効果が切れてきたら、また膝に実の手を置いて練習し、この妄想をし直してください。
シュテムターンの記事を読み、大回りの記事を読み、ここにたどり着いたあなた。あなたの勝ちです。きっと合格します。ご検討をお祈りいたします。(執筆者は我流スキーヤーです、指導員資格はありません)
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