※この記事は2016年に執筆されたものです。一部種目が変更になっています。採点基準も変わっているかもしれません。ご注意ください。
我流野良スキーヤーである私が、SAJスキー検定2級の種目である「基礎パラレルターン大回り」の攻略を述べていこうと思います。
「スキースクールで言われることって、間違いの指摘ばっかりでじゃあどうすればいいかは結局わからないのビエェェン!」っていう人に良い薬になればと思っています。
毎度のように繰り返し書いていきますが、ここに書くことは、たぶんポジションが悪い人にはできません。スキーのポジションについては以下の記事で書いていますので、ご一読なさることをお勧めします。
ここに貼ったポジションの記事は、「ターン時に踏みかえ動作が出ている」とか「シュテム・シェーレンが出ている」言われて悩んでいる人には劇的に効きます。
大回りでそれを言われる人はまず2級受験レベルに達していないので、ポジションの記事を読んで一回くらいスキーに行ってその確認だけの練習を1日してからこの記事読んでください。
この記事は連載物になっています。用語が全然わからない方は、2級「シュテムターン」から第1回を書き始めましたのでそちらからお読みください。当記事は、指導員資格のない我流スキーヤーの検定2級対策の第2回です。
さて、シュテムの記事でも触れましたが、苗場スキースクール様がこんな貴重なデータを公表してくださっています。2級大回りの合格点獲得率は2014~15シーズンは30%台、2015~16シーズンは実に58%です。いずれの年でも最も取りやすい種目であります。これは苗場のデータなので他のスキー場のことはわかりませんが。
データからしてハッキリ言えますね。大回りを落としたら2級合格はない!と。いわば検定での「要」の種目なわけです。
目次
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基礎パラレルターンとは
さて、この種目の名前は「基礎パラレルターン」ですね。これは何ぞやという事をアツく語るつもりはありませんが、ターン全体で適度なズレを伴った、ズレに乗った滑りをせよと言う意味と解釈してください。
なぜ、現代の2級がこういう構成になっているか、部外者の私が勝手に解説します。
以前(2012年ごろまで?)に「内倒、内向、内足主導」のスキーを推奨し教えていたSAJ教育本部が方針転換し、舵を切ったことによって、現代ではそれらはNGなものとされるようになったんです。
外向、外傾を作らなければズレを伴った美しいターンはできません。特に腰の外向です。これ、できない人たちを以前にスクールで作り上げておいて、謝罪もなしにこんどはそれを駆逐するために(ひどい話です)、その、以前スキースクールでお金を取って教えていた姿勢ではできない種目を設定した!(ひどい話です)ということです。
ちょっと言い過ぎましたかね?
苗場のデータで合格率がうなぎのぼりしているのは、スクールの現場で教えることが変わって「外向傾」のスキーが再び浸透し始めたからだと解釈すれば、この論はあながち間違っていないでしょう。
御託はこれくらいにして、この種目を全体像からはじめて、各種ポイントを押さえられるように書いていきます。最後にまたまとめます。
2級大回りで行う事の全体像
まず、2級大回りの全体像を見て行きます。緑の丸で囲んだ部分と、谷回りが短いことに注意して以下の図を見てください。
はい、ほとんどシュテムターンの時と同じなんですが、緑の丸になって線が途切れてる部分でやることがあります。後述します。
それと、谷回りをパラレルでやる必要があるところがシュテムと少し違います。でも、そんなに長い谷回りは要求されません。
ストックは大回りだと突いても突かなくてもいいですよ。突くなら、スキーの横じゃなくて体の横の遠くの方に突きましょう。でないと滑りが窮屈になります。
では、緑の丸の部分で何をやるのかという事をここで説明しときましょう。
当然、谷回りの準備なわけですが、基礎パラレルターンなのでズレを伴ったターンが求められます。(いや、上手い人はキレキレのカービングで検定受けても合格点出ますけど)
ズレに乗るためには、板に対して腰が少し外を向く、「外向」という姿勢を作らなければなりません。緑の丸で囲んだ部分でこれをやるわけですが、板を操作せずに腰を外に向けると、検定員に背中を向けるかのような姿勢になり、ブサイクなスキーになります。
なので、ニュートラルのエッジが外れた状態から、エッジはほぼ外れたまま脚をひねってスキーの方をちょっと回すことで外向を作るといいですね。
脚をひねるというのは、脚の付け根(股関節の事です)を回すことなんです。「ブロブロ君」を使ってまずは棒立ちで説明しますね。
スクールでも「ブーツだけひねる」と教える先生がいます(私が唯一教わった先生がそうでした)し、雑誌にもそういう言葉が登場しますが、人体は構造上、ブーツをひねるためには脚の付け根(股関節)をひねらなければなりません。図を見てください。腰の向きは変わっていませんよ。
自分で立ってやってみてください。直立して、腰の向きを変えずに、つま先の向きだけ変える。
脚の付け根を回したでしょう?この感覚は他の種目でも大事なところがたくさんあるので、絶対に覚えておいてください。
さて、脚の付け根をひねる、という事は、ポジションを作った状態で脚をひねると当然膝も少し横向きに曲がりますね。今度はブロブロ君でポジション作って脚をひねらせてみましょう。これも腰は真正面を向いています。
ああー、良い姿勢ですね。1級の横滑りなんて、これに似た感じでしょう?(その解説をする時は図を改めて作りますが)これが、腰をひねらずに脚をひねった状態です。
わざとズレるという感覚が一切ない人は、1級種目の「横滑り」の練習が非常に役に立ちます。2級の内から練習しとくと、後々いろんなことに役立ちますよ。1級種目だからってビビらなくていいですよ。
話がちょっと飛びましたが、脚をひねった状態、上から見ると、どんなんなってるかっていうと、この図を見てください。
これです、この腰がターン外側向いてる状態、これが「外向」っていうやつですね。
こうやって谷回りを少しサボってひねりを入れることで、「ズレに乗ったターン」が実現できるってわけですよ。(この動作は一瞬です、ながながとやらないでください)
ニュートラルから谷回りまで
さあ、ここまで、2級の大回りでは谷回りに入る前に少し脚をひねって外向作るといいよ、と話しましたね。
ニュートラルから谷回りの間にワンクッション入るわけですが、この方法がいきなり谷回りに入るより簡単だという事をまず言っておかなければなりませんね。2級レベルの人にとっては谷回りは怖いですから、板を少し下に向けた状態から谷回りにはいるほうが楽です。
谷回りについては、はじめに悪い例から話しましょう。現代スキー検定では駆逐される(過去に量産された悲惨な歴史を持つ)、種目が変わってから「2級に受からない病」が悪化したような人が陥りがちな姿勢を見ておきます。
ようするに、ニュートラルから内向、内倒で谷回りに入るアグレッシブすぎる人なわけです。フルカービングを徹底的にやるならこういう練習もありかもしれませんが2級の検定でやってはダメですよ。
決まったら気持ちいいんですけどね、これ。まあ物好きな人がいたら、検定で試してみてください。相当うまくなければ落とされますから。
さあ、じゃあ受かるにはどうすればいいのか、という所をここから話すわけです。
いや、実は上の方でもうほぼ話したんですが、谷回りまでの流れを図を使って解説していきましょう。
まず、ニュートラルを作らなければターンを始動できませんね。そこから、いきなり谷回りにはいるのではなくて、エッジをほぼ寝かせたまま脚をひねって板を少し斜面下に向けて外向を作り、谷回りを少しサボるわけです。
斜面の上に立っていますから、当然、斜面に垂直に立つ意識は持ったまま、脚をひねってください。この動作は割と一瞬です。
で、この状態から、谷回りに入っていくんですよ。そうすると谷回りの恐怖感とはオサラバ、そして楽に、しかも外向を伴うのでズレに乗ったターンができるってわけです。図を使って説明しますね。
谷回りに入るときは二つ大事なところがあります。まずは、腰を谷に落としてエッジを立てる(膝を内側に入れてエッジを立てるのではない)、という事です。もう一つは、シュテムターンの解説で散々言った、「外傾」を作ることによって内倒を防ぐことです。
このように結果だけを説明すると、雑誌やスクールで使われる言葉がわからない迷える子羊さんたちに語りかける意味がないので、身体感覚で説明しましょう。
腰を落としてエッジを立てるときには、「外腰を体の横に折り曲げ、腰を谷に落とす」という感覚で行ってください。そうすれば直立内倒を防ぐことができます。
そしてその姿勢を維持するための感覚として、ターンに入ったらターンマックスまで、「外の手で雪面を押さえつけるイメージ」を持ってください。これで外傾姿勢を保てるようになります。外の手がバンザイすることもなくなります。
はじめに作った外向は、徐々に正対に戻していってくださいね。2級はズレのターンなのでターンマックスの時はちょっと外向は残ってるくらいでいいです。
これで谷回りは終わりです。どうでもいいですけど、私のパワポ作図スキルが上がってきましたね。
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ターンマックスと山回り
谷回りをここまで見てきました。ぶつ切りで説明していますが、ほんとはぶつ切りではなく連続した流れの中の操作だという事を忘れないでください。
上記の流れでエッジングすると、あっという間にターンマックスに辿りつきます。そして、そのターンマックスというのは一瞬で、続いて山回りに入っていきます。
この流れも図を使って説明していきましょう。いいですか、上の説明ともつながっていることを意識してくださいね。
ターンマックスで気を付けること、それはズバリ、シュテムターンの時と同じ、「外傾」を真下にいる検定員さんに見せつけることです。
ほら!外腰が折れ曲がってるよ!外傾だよ!って強くアピールしてください。これを見せて丸いターン弧を描けば勝ったも同然です。
そして山回りに入っていくわけですが、山回りに入ったと認識するころには腰の外向は完全に正対に戻しておいてください。注意点ですが、ターンの時に上半身をオリャッとひねって内向して舵を取るのは厳禁です。
スキーの上手い人を見てると、山回りで少しずつ内向して行っているように見えるかもしれませんが、あれを真似しようとすると本当に内向して超絶ダサくなりますよ。
じゃあ、あの動きって、いったいどういう意識で行えばいいのか。意識付けを説明しておきますね。
谷回り~ターンマックスで「雪面を押さえつける」意識を持っていた手と腕を、ターンマックス~山回りで「肘を曲げていって拳が体の前に来るようにする」だけでいいです。肩から肘の部分を一緒に前に出す意識を持ってしまうと、内向してダサくなります。
まぁ、これはあくまで意識なので実際の動きが必ずそうなっているとは限らないことを念頭に置いといてください。
そしてこの山回りでは、脚の内傾角を保ったままでいると山にもたれかかるようなダサいスキーになります。ですから、「折った腰を戻していく」という感覚で徐々に外傾を取り去って、ニュートラルに向かってください。
1連の動作のまとめ
ここまで書いてきたことをを左右交互に繰り返してゴールでビシッと止まれば、大回りはおしまいです。やることをまとめた、真上から見た図を貼っておきます。
これいい忘れてましたが、谷回りの時からスキーの前後差は腰が外向する分だけにして、腰が正対するときには前後差はつけない、という事もイメージとして肝に銘じておいてください。
はい、もうこの図で説明することは他にありませんね。この図だけ見て何するか全部わかるようになったら、もう2級の大回りを落とすことはないでしょう。
これで2級大回りはおしまいです。(執筆者は我流スキーヤーです、指導員資格はありません)
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