ブロブロスキーのブログ

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焦らせたらそれで能力やパフォーマンスが上がると思うなよ。ボヤっとした人の扱い方

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何か失敗したときに「危機感が足りない」といって怒られた経験をお持ちの方は多いでしょう。こうやって部下や子供を叱ったことがある人もたぶんいるでしょう。

 

この叱ったり怒ったりしている側の人っていうのは、自分が「このままではいけない」と思って頑張ったら成果が出た、という成功体験をもっているから、他人に対して「もっと焦りなさい」というメッセージを発するわけですね。

 

で、危機感が足りなそうなぼんやりした人にこのメッセージを発するとどういう効果があるのか、というのをこの記事でこれから述べていくわけです。

 

そのぼんやりした人たちを煽って焦らしたら、その人は状況を混乱させる天然君に大変身します。そしてその結果として、単に傷つきます。

 

ここではそんな話を、書いていきましょうか。

 

 目次

 

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焦らせると天然化する母の話

 

私は子供のころから少年期まで親の転勤に伴って引っ越しをしまくっていて、これは小さな部屋に住んでいた時の話です。

 

電気ケトル、暖房、ドライヤーを同時に使ってしまうとブレーカーが落ちるような部屋だったんです。

 

とある冬、母が風呂上がりに暖房つけてる部屋にきて、「コーヒー飲もう」といって電気ケトルのスイッチを入れ、洗面所へもどってドライヤーつけたんですよ。

 

その瞬間、ブレーカーが落ち、リビングは真っ暗に。

 

このときブレーカーを上げながら父がキレて言ったんですよ。「お前は危機感がないからドジなんだ」系のことを。

 

その後の親同士言い合いなんてちゃんと覚えていませんが、「危機感」「緊張感」を父が連発していた事だけは記憶に焼き付いています。その時の母の顔は悲壮感漂ってました。

 

その翌週くらいだったでしょうか、父がいない時です。母は風呂上りに暖房のついた部屋に来て、電気ケトルをオンにし、洗面所に戻っていきました。

 

まさか…と思っていたら、ブレーカーが落ちました。フォローしておくと、そこには引っ越してきたばかりなので、この流れは前の家では問題なかったんですよ。

 

私としては、またやったのかという感じでしたが、母、今度は焦りまくり。再びやらかしてから、父の言葉が効いたんでしょう。

 

どの家電も電源は入ったまま、配電盤へ急いで走る母。すぐにブレーカーを上げます。上げた瞬間、ブイーンとドライヤーの音がします。

 

つけっぱなしだ!それに気付いた母は、ドライヤーの方へ向かいます。その途中、またブレーカーが落ちます。すると母は、またUターンしてブレーカーへ。

 

その間に私が電気ケトルを切ったので、今度はブレーカーを上げたらまたドライヤーがブイーン。

 

ドタバタと音をたてて、洗面所に辿りつき、ようやくドライヤーの電源を切った母。

 

 

もう十何年も前の話です。思春期だった当時、私は天然すぎだろ、と腹抱えて笑っていましたから、その時は笑い話で済んでいたんですけど。

 

あの時の母の顔は、今思い出してみると、ケロッとしているように見えて、ひどく疲れきったような、そんな表情でした。きっと傷ついたでしょうね。

 

こういうパターン、仕事でもよく見るんですよ。心当たりないですか?ない人は結構運がいいかもしれませんよ。

 

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天然化するのはなぜなのか

母は、祖母と祖父の話をよく私にしてくれました。

 

素人の私が分析するに、「勝手に先回りして失敗しないように世話をされ」、「自分の思ったようにやったら怒られ」、「不安を漏らそうものなら祖父母は慌てふためき、結果怒られる」というタイプの育て方をされたようです。

 

ちなみに母はわりと高学歴で、並み以上の教養はある人です。スポーツもできて、落ち着いていれば戦略も立てられる人です。でも、焦ると天然になる。

 

一時流行った言い方ならば「毒親」、「機能不全家族育ち」ってやつなんですね、これも。(問題は解決されてなどいませんが、この流行りは過ぎてしまったように思います)

 

焦りを見せると、親から愛情がもらえない。親が敷いた絨毯の上を歩かなければ、怒られ、見捨てられ、自分は生きていけない。(子供だった母は、無意識でそう感じながら幼少期を生き、それが当たり前だと刷り込まれた)

 

こういう過程で母は「必然的に」あのぼんやりとした感じに育ったのでしょう。愛着の対象である親に従っていなければ、家族の中に居場所がなかったから。(子供は、親の庇護下になければ生きていけませんから、これはサバイバルです)

 

こういう育ち方の影響というのは、大人になっても消えないものなのです。

 

誰もが、同じではないですがその育ち方から身に着けた形質というものを自覚なしに持っています。一生抱えていく人格なのですよ。

 

だから当時、親から変わった「愛着の対象」である夫(私の父)から「もっと焦りなさい」というメッセージを受け取った母はどうしていいかわからなかったのだと思います。

 

言われた時の悲壮感漂う顔は、「怒られたから」ではなくて、内面化させている親とは真逆の「焦りなさい」というメッセージが夫から与えられた混乱が原因だった。

 

焦ったら自分を否定されるという生き方をしてきた、そこに焦りなさいと言われた。パニックになったんです。きっと、その1週間、ずっとパニックだったと思いますよ。

 

 

ぼんやりしている人のパフォーマンスを上げるには

そもそもです。人は誰でも、仕事がたまってきたり、不測の事態が起きたりしたら焦っています。そう見える、見えないにかかわらず、です。危機感は持っているんです。

 

そこに来て尚、焦っていないように見える人は、「そう育った事情」があって、「焦っていることを隠さなければならない」と思っている人なんですよ。

 

この人に「焦りなさい」というメッセージは、その改善とは逆効果を生むんです。判断力を失わせる。

 

この手の人には、「この順番にやろう」と提示をするか、もしくは「やる順番を決めて、どれをいつまでにやるか考えて(それを報告してほしい)」というメッセージを出すのがいいと思いますよ。

 

なんとかなる、安全だ -こう思って仕事をする時が一番パフォーマンスが上がるんですよ。 

さて、冒頭の「叱った側」の人は危機感を持つことが成功につながった経験がある人だといいましたね。その手の人の話はまたの機会にやりましょう。ここにも罠が潜んでいる…?