ブロブロスキーのブログ

スキーと釣りが趣味の院卒の30代オッサンのブログ。気まま、手軽、あるがまま

話が通じた例と通じなかった例:人間の不合理さは伝わったか

昨日、「文意」なんて滅多に読み通してもらえないもので、話が通じるって結構貴重なんだぜっていう話をしたと思います。

 

いや、違うか。美化しすぎました。世の中にはニュースを読む読解力もないのに中高生の読解力の低さを嘆いてるやつが沢山いるぜ笑えん話だな、「文意」取れない奴ってこんなにいるんだぜ、というニュアンスの書き方をしました。ごめんなさい。この記事です。

 

www.brobroski.net

 

この記事の中で私はfacebookとかだと学歴とか経済力とか同じくらいの友人の中でも文を読み通さずにコメント寄越す人がいる、と言いました。両親や親戚とは会話すら成り立たないとも。昔の事思い出して、ちょうどいい例が思い浮かんだのでここに記しておこうと思いました。

 

これは私が大手メーカーのいわゆる中央研究所だか基礎研究所だかと呼ばれるようなところ(名前はそうじゃなかった)に勤めていた時代の話です。ちょうど年末、仕事納め(納会)の日に部署内で恒例の「雑学小話披露大会」みたいなのがあって、話が通じる集団(研究者たち)にそれを話した時にウケて賞品(高いお菓子)貰って実家にお土産として持って帰ったもんだから、通じない集団(両親)に「俺らにも聞かせろ」と言われて同じ話をしたことがあったんです。その時のエピソードです。

 

目次

 

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話した内容

経済学では人間は合理的に行動するってモデルで理論を構築するけども実は人間の経済的な判断てメッチャ不合理ですよっていう数々の実験をしたダン・アリエリーという行動経済学者が行ったひとつの実験について話しました。実験内容は以下の本からの引用です。

 

 実験の内容はこうです。

アメリカではかなり合理的判断ができると思われている集団であろう、マサチューセッツ工科大学の大学院で経営を学ぶ100人にこんな質問をした。

「あなたは『エコノミスト誌』を購読することに決めました。どれを選びますか」

 a ウェブ版    :$59

 b 印刷版     :$125

 c 印刷版+ウェブ版  :$125

これに対して、大学院生の回答はこうなったんですね。

 a 16人

 b 0人

 c 84人

ここで、誰も選ばなかった選択肢が存在しましたので、この選択肢は意味がないということで消去、改めてMIT大学院で経営学を学ぶ別の100人に今度は次のような質問をします。

「あなたは『エコノミスト誌』を購読することに決めました。どれを選びますか」

 a ウェブ版    :$59

 b 印刷版+ウェブ版  :$125

これに対して、大学院生の答えはどうなったか。実はこうなったんです。

 a 68人

 b 32人

この実験結果からはつまり、印刷+ウェブを選ぶか、ウェブを選ぶかのどちらが合理的な判断かという客観的な判断基準がなくとも、「誰も選ばなかったダミーの選択肢」一つの存在が、大学院生の選ぶものを大きく変えたと言えます。

 

誰も選ばなかった選択肢なのだから、人間が合理的に行動するとするならばあってもなくても影響ないはずでしょ?

 

それを取っ払ったら比率が変わった時点で、どちらかは不合理な方向に動いてますよということが少なくとも言えますよね。(この場合ダミー選択肢に騙されて高いほうの、同じ情報がのってる紙とweb情報ダブルで買わされたほうが不合理に動いたと言ってもいいと思いますが)

 

まぁ、人間なんて不合理に判断を下してるんですよ、MITの院生ですらね。

 

と、まぁこういう実験をもとに話をしたんです。

 

研究所の部署で進めた話し方

研究所で話した時は、上記のように3択→2択の順ではなく、逆に話しました。パワポを使ってね。ちょっと工夫を加えて。違う母集団で実験してますから紹介する順番を変えても問題はないないはずですからね。

 

こんな話の流れです。

私「今日は、『人間の意思決定行動は意外と不合理な形でなされている』という話をユニークな実験結果を交えてお話しさせていただきます、アメリカの心理学と経営学の研究者がこんな実験をしました。」

アメリカではかなり合理的判断ができると思われている集団であろう、マサチューセッツ工科大学の大学院で経営を学ぶ100人にこんな質問をした。

「あなたは『エコノミスト誌』を購読することに決めました。どれを選びますか」

 a ウェブ版    :$59

 b 印刷版+ウェブ版  :$125

私「結果はこうなったんです」

 a 68人

 b 32人

私「まぁ好みの問題もあるから、妥当なもんでしょう。安い方、しかも邪魔になる紙媒体が届かない方を選んでる人が多いというのは合理的と言えますね。」

 

私「ここで研究者はここに、ある選択肢を加えて以下の様な3択の質問に変え、また別のMITの経営学の大学院生100人に質問に答えてもらいました。」

 a ウェブ版    :$59

 b 印刷版     :$125

 c 印刷版+ウェブ版  :$125

私「Kさんにお尋ねします。追加されたbを選んだ人は、いたと思いますか?」

Kさん「たぶん、いなかったと思います」

私「その通りです。bは0%でした。途中経過はこういうことになります」

 a ??人

 b 0人

 c ??人

私「さっき改めて導入した選択肢は誰も選びませんでした。この選択肢は選ぶ価値がなかったということですよね。ここまでは合理的ですね。先ほどの実験とともに人間の判断が合理的だとしたら、aとcの比率はどのくらいになるのが妥当ですか。Lさん、お答え願えますでしょうか」

Lさん「その前提だと、さっきやった実験結果も合理的な判断の結果のはずだからさっきと同じ、7対3と誤差範囲くらいかなぁ」

私「そうですよね。誰も選ばなかった選択肢を入れただけですもんね。でも、冒頭に私は人間は不合理に行動、選択をすると言いましたね。Mさん、実際この実験のaとcの比率はどのくらいになったと思います?」

Mさん「あー、紙と紙+ウェブが同じ値段だってことでお得感で盛り返して5対5くらいなったのかな」

私「そうですね、盛り返したのは事実ですが結果はこうでした。

 a 16人

 b 0人

 c 84人

一同ザワつく「ええーー!??ああ、そういうことか」「印刷版にウェブ版がタダでくっついてくるようにみえる価格設定のbのダミー選択肢が、みんなをcに吸い寄せたのか」「これは確かに大学院生がきわめて不合理な事をしている」「この話凄い面白かったよ」

私「そういうことです。どちらかに似ているだけの、選びもしないおとりに人間は不合理にも引っ張られます。経済学理論の言うようには人間は合理的に経済活動をしません。」

 

と、こうして私は雑学漫談大会でMVPを取って賞品を年末に実家に持ち帰ったのでした。(話の内容は本から拾ってきただけなんですけどね)

 

これはきわめて上手くみんなに話が通じた例と言えます。「明らかに損な選択肢を選ぶ人はいるか?」「この前提だとどうですか?」「実際はどうなったと思うか?」に、全員ちゃんと文脈を読んで答えてくれて、最後の結果を披露したときに「人間は不合理な意思決定をする」になるほどと同意してくれていますよね。

 

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両親に話した時の会話の進み方

結論から言っときますがこの話は両親には通じませんでした。両親の簡単なスペックは

父:国立大理系卒、大手メーカ部長の後、子会社役員

母:難関私大文系卒、仕事は珍しいので秘密

簡単に言えば両親は特段私よりアホとかじゃなくて一般的にはややエリート小金もちな人たちであります。

 

話の流れとしてはこんな感じです。納会終わって実家に帰った時ですね。

私「会社で雑学披露大会みたいなんがあってな、そこで面白かったってんでええお菓子もろて来たから持ってきたで。」

父「へー、お前が?雑学ってどんな話したん?」

私「人間は不合理な形で意思決定をするっていう実験の話やで。」

父「不合理?頭のエエ奴は合理的やぞ」

私「そういう話じゃないんやけど、PCあるから資料見ながら話そうか?」

父「興味がある」

私「じゃあ話すで」

私「ユニークな実験結果で人間の意思決定の不合理さを暴いたアメリカの心理学と経営学の研究者がいた。こんな実験をしたんやな。」

アメリカではかなり合理的判断ができると思われている集団であろう、マサチューセッツ工科大学の大学院で経営を学ぶ100人にこんな質問をした。

「あなたは『エコノミスト誌』を購読することに決めました。どれを選びますか」

 a ウェブ版    :$59

 b 印刷版+ウェブ版  :$125

私「結果はこうなった」

 a 68人

 b 32人

父「こいつらが全員合理的なんやったらどっちか得なほうに100人になるやろ」

私「話の腰折らんといてや、ライフスタイルに個性があることは不合理とかではないやろ。続く実験があるんやからまずは聞いてや

母「エコノミストってイギリスの?穀物法やめさせるために出k・・・」

私「いいからきいて

私「ここで研究者はここに、ある選択肢を加えて以下の様な3択の質問に変え、また別のMITの経営学の大学院生100人に質問に答えてもらった。」

 a ウェブ版    :$59

 b 印刷版     :$125

 c 印刷版+ウェブ版  :$125

父「実際ウェブ版売るのと印刷版売るのって新聞社はどっちが儲かるんやろうな」

母「この前何かの特集でネットニュースは有料化の流れにしていかないと新聞社が持たんて言うとったで」

父「そうやな、先進国ほど有名誌ネットニュースは有料の流れは出来つつある」

母「でも6000円は高いなぁ、6000円あったら・・・」

私「興味ないんやったらこの話終わりにするで、お菓子食っといてええから

 

これが話が通じなかった例です。きのう書いた「キーワードに反応」「連想ゲーム」がどんなに苦痛かよくお分かりいただけると思うのですがどうです?

 

結果的に初めに主題として挙げた「人間の不合理さ」への興味は途中で消えてて忘れ去られてますよね。私、親や親戚に混じるといつもこんな感じになるんですよ。だから最近は正月は一人でスキー行ったりすることが増えました。

 

両親ともにこんな感じで他所で人に接してるのかと思うとマジ怖いです。なんで職場で生きてこられたのか不思議です。結構偉くなってたり高学歴だったりする人でも話通じない人はマジで通じないし典型的な場合はこんな惨事になるんですよ。こいつらもしかして職場では話通じてて家庭だけこんなだったりするのか?

 

家庭がこんなだったから私にとって話通じる人ってとても貴重な存在なのです。